『れきナビ―やしお歴史事典』:旧版:『れきナビ』講座:くずし字にチャレンジ! 村人の生業(20230119版)
提供:『れきナビ―やしお歴史事典』
近世の八潮市域は農村地帯でしたが、農業のみを生業〔なりわい〕とする専業農家(「農業一派渡世」)だけではなく、商人や職人もいました。
→「農間余業」参照
- ※資料番号の「濱野昭家[1]」は八潮市立資料館寄託上馬場濱野昭家文書、「高橋義一家」は資料館寄託大瀬高橋義一家文書、「大曽根村」は資料館所蔵大曽根村文書(豊田家文書)、「小倉正太郎家」は大曽根小倉正太郎家文書。CHは複製本。
- ※=「八潮市立資料館デジタルアーカイブ」(資料詳細画面)へリンク
目次 |
享保10年(1725年)上馬場村村鑑帳《抜粋》
- 翻刻:こちら(PDF)
- 解説:「村鑑」「村明細帳〔むらめいさいちょう〕」などと呼ばれる帳簿で、上馬場村の概要が記載されています。村人の生業については、農業に従事しているが、風雨の節や朝夕には、男は縄・俵・むしろを編むなどし、女は衣類の裁縫・洗濯、木綿の紡績・機織などをしていたと書かれています。また、前栽物〔せんざいもの〕(野菜)の丸漬瓜〔まるづけうり〕(シロウリ)を千住河原町(現足立区)へ出荷し、江戸から肥料の干鰯〔ほしか〕や下肥を購入していたこともわかります。
- ※画像掲載箇所には、牛馬・名物・町場など・助郷・草刈場・林に関する項目もあります。
- 備考:本史料の全文翻刻は、『八潮市史 史料編 近世1』史料27に掲載。
寛政6年(1794年)商売家書上帳《抜粋》
- 出典:高橋義一家2615(CH1759) 「商売家寛政六寅年〔とらのとし〕写」 (抄)
- 画像:
- 翻刻:こちら(PDF)
- 解説:大瀬村他10か村の商人や職人が記載されている文書です。画像掲載箇所は、垳村の末尾で船大工の記載がある部分と、古新田の部分です。古新田は、酒屋(たばこ・草履・線香なども販売)、飴菓子〔あめがし〕・草履などを売る人、付木商売、布晒〔ぬのざらし〕、屋根葺〔ふき〕、大工の6軒が記載されています。
- ※本史料に記載されている商人や職人については、「農間余業#市域20か村の農間余業一覧表」参照
- ※本史料は、寛政6年(1794年)当時の内容と、後年の調査時の内容が混在しています。
天保11年(1840年)農間飴菓子商渡世株譲渡につき証文
- 出典:大曽根村101(CH1907) 「入置申一札之事〔いれおきもうすいっさつのこと〕」
- 画像:
- 翻刻:こちら(PDF)
- 解説:大曽根村の勘左衛門から権右衛門へ飴菓子商の営業権が譲渡された際に、両名から村役人に提出された誓約書です。譲渡の理由としては、権右衛門が困窮して病身になった(農作業が難しくなった)ことが挙げられています。
- 備考:
- 平成30年度(2018年度)の初心者のための古文書講座「八潮の諸商売―近世後期の農間余業と幕府の統制」で読んだ史料です。
天保11年(1840年)農間飴菓子商渡世始につき証文
- 出典:資料館所蔵 大曽根村102(CH1907) 「入置申一札之事」
- 画像:
- 翻刻:こちら(PDF)
- 解説:大曽根村の権右衛門が飴菓子商を開始した際に、村役人に提出した誓約書です。往来際に葭簀張〔よしずばり〕したことがわかります。
- 備考
天保14年(1843年)湯屋渡世等取締につき請書
- 出典:小倉正太郎家28 「差上申御請書之事〔さしあげもうすおうけしょのこと〕」
- 画像:
- 翻刻:こちら(PDF)
- 解説:農村での湯屋・髪結床・酒食・小間物商・刀研屋・拵屋〔こしらえや〕(刀の装飾品を作る職人)などの営業が禁止されたことについて、寄場〔よせば〕八條村組合(八條領改革組合村)が提出した承諾書です。天保の改革における奢侈〔しゃし〕禁止の一環です。
- 備考:平成30年度(2018年度)の初心者のための古文書講座「八潮の諸商売―近世後期の農間余業と幕府の統制」で読んだ史料です。
参考文献・ホームページ
八潮市立資料館の刊行物など
- 展示パンフレットなど
- 『第35回企画展 肥やしとトイレ~暮らしを支えたバックグラウンド~』(2016年)
- 『第36回企画展 八潮の歩き方~移りゆく景観、変わりゆく八潮~』(2016年)
- 八潮市史編さん物
- 『八潮市史 通史編1』(八潮市役所、1989年)761ページ、第4編第1章第1節、第3章第1~4節
- 『八潮市史 史料編 近世1』(八潮市役所、1984年)解説13~14、29~30ページ、史料27・120、年表827、844ページ
- 萩原龍夫「八潮市域の近世村落概況」(『八潮市史研究』創刊号、1978年)
- ※資料館収蔵古文書は省略。
関連項目
- ↑ 濱野昭家の「濱」は、正しくは異体字の「」(Unicode:U+6FF5)です。この字は、オペレーションシステムなどの環境により正しく表示されない可能性があるため、本文では正字体の「濱」(常用漢字は「浜」)で表記しています。