提供:『れきナビ―やしお歴史事典』
参詣の旅から転送)
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 近世の旅を中心に取り上げる。

DA.gif=「八潮市立資料館デジタルアーカイブ」(資料詳細画面)へリンク
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目次

近世の庶民の旅

 近世には庶民の旅が盛んであった。旅の多くは参詣を目的としていたが、物見遊山(娯楽)も兼ねていたとされる。伊勢講〔いせこう〕などの「講」による旅も多く、講の構成員が旅の資金を出し合って代表者が参詣(代参)した。
 庶民が道中で筆記した旅日記(道中記)が多数残されており、大部分が携帯に便利な横半帳(小型の帳面)である。

旅関係の古文書(八潮市立資料館収蔵)

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 八潮市立資料館収蔵古文書の中から、旅関係の一部を紹介する。

※資料番号の「濱野昭家[1]」は、資料館寄託上馬場濱野昭家文書

天保13年(1842年)伊勢・西国道中記

  • 出典:濱野昭家2429
  • 画像:

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  • 翻刻:掲載画像→こちら(PDF)
  • 解説:
    • 全体:天保13年(1842年)正月から4月の旅日記(横半帳)。伊勢参宮後に西国三十三所巡礼を行い、讃岐国(さぬきのくに)金毘羅〔こんぴら〕大権現(金刀比羅宮〔ことひらぐう〕、現香川県琴平町)まで足を伸ばしている。同行者の名前を記載した箇所があり(DA画像64)、柳之宮村會田氏以下、同村田中氏・西袋村濱野氏・上馬場村濱野弥左衛門・八條村高橋氏ほかの計12人である。
    • 掲載画像:長谷寺については下記参照。奈良では有料の案内人が付いて名所を見物している。猿沢池について、「水半分魚半分」と記されている。ここでの同行者は9人であったようである。
※掲載画像に続く箇所(DA画像30)も奈良で、「鹿之〔の〕数幾千万トいふ(う)、其〔その〕数知れす(ず)」などとある。

文久2年(1862年)播磨・奈良・京都等道中記

  • 出典:濱野昭家2278 「道中記」
  • 画像:

 全体の画像→DA.gif

  • 解説:
    • 全体:濱野弥右衛門忠義が記した、文久2年(1862年)2月から3月までの旅日記(横半帳)。本文冒頭は播磨国御着〔はりまのくにごちゃく〕(現兵庫県姫路市)から始まり、奈良や京都を経て、東海道を東進している(詳細な記載があるのは近江国〔おうみのくに〕〈現滋賀県〉まで)。
    • 掲載画像:奈良の猿沢池や鹿の絵が描かれている。

元治元年(1864年)大山参詣につき番所通行手形

 「『れきナビ』講座:くずし字にチャレンジ! 幕末・維新#元治元年(1864年)大山参詣につき番所通行手形」参照

大和周辺道案内図

  • 出典:濱野昭家189
  • 画像:

※天保13年(1842年)道中記の掲載画像に関連する地名の翻刻を加筆。

  • 解説:大和国〔やまとのくに〕(現奈良県)周辺の道案内図(刷物)。京都の宿屋が発行したもの。

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善光寺より伊勢参宮道

  • 出典:濱野昭家188
  • 画像: DA.gif
  • 解説:信濃国〔しなののくに〕善光寺(現長野市)から伊勢神宮に至る街道の宿場の一覧(刷物)。大坂の宿屋が発行したもの。

伊勢朝熊ヶ岳金剛證寺の御札

  • 出典:濱野昭家190 「伊勢朝熊岳〔あさまがたけ〕」
  • 画像:
  • 解説:伊勢朝熊ヶ岳の金剛證寺〔こんごうしょうじ〕の御札(刷物)。当寺は伊勢神宮の鬼門(北東)を守る寺とされ、参宮者の多くが当寺を訪れた。

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長谷寺の図

  • 出典:濱野昭家191 「大和国豊山神楽院長谷寺之図〔ぶさんかぐらいんはせでらのず〕」
  • 画像:
  • 解説:長谷寺(現奈良県桜井市初瀬〔はせ〕)の境内が描かれている図(刷物)。当寺は西国三十三所の第8番札所で、真言宗豊山〔ぶざん〕派の総本山。八潮市域には同派の寺院が多く、上馬場村(現中央)の觀音寺も同派である。

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八潮市域に残された参詣絵馬

 市域の寺社には、参詣を終えた人々が奉納した絵馬が100点以上残されている。

市指定文化財「西袋・柳之宮氷川神社絵馬」

 八潮市指定民俗文化財西袋柳之宮氷川神社絵馬」の中には、伊勢参宮絵馬や富士参詣絵馬もある。

※八潮市ホームページの解説はこちら(PDF)

紀行文「遊歴雑記」にみる八條村

 「遊歴雑記」参照

参考文献・ホームページ

八潮市立資料館の刊行物など

  • その他の資料館刊行物

その他

  • 有薗正一郎・遠藤匡俊・小野寺淳・古田悦造・溝口常俊・吉田敏弘編『歴史地理調査ハンドブック』(古今書院、2001年)207~210ページ
  • 国史大辞典編集委員会編『国史大辞典 第11巻』(吉川弘文館、1990年)「長谷寺」
  • 八潮市ホームページ

関連項目

☆このページの令和5年(2023年)3月5日版はこちら
☆このページの令和2年(2020年)10月13日版(初版)はこちら
  1. 濱野昭家の「濱」は、正しくは異体字の「Hama.jpg」(Unicode:U+6FF5)です。この字は、オペレーションシステムなどの環境により正しく表示されない可能性があるため、本文では正字体の「濱」(常用漢字は「浜」)で表記しています。
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