『れきナビ』講座:くずし字にチャレンジ! 幕末・維新

提供:『れきナビ―やしお歴史事典』
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※資料番号の「大曽根村」は八潮市立資料館所蔵大曽根村文書(豊田家文書)、「高橋義一家」は資料館寄託大瀬高橋義一家文書、「濱野昭家[1]」は資料館寄託上馬場濱野昭家文書。CHは複製本。
DA.gif=「八潮市立資料館デジタルアーカイブ」(資料詳細画面)へリンク

目次

元治元年(1864年)大山参詣につき番所通行手形

  • 出典:大曽根村87(CH1907) 「差上申一札之事〔さしあげもうすいっさつのこと〕」
  • 画像:
※翻刻は『八潮市史 史料編 近世1』史料151にも掲載。

慶応4年(明治元年、1868年)五榜の掲示改正第三札(キリシタン・邪宗門禁止)

  • 出典:高橋義一家346(CH94) (抄)
  • 画像:
  • 翻刻:こちら(PDF)
  • 解説:五榜〔ごぼう〕の掲示は、慶応4年(1868年)3月に新政府が「太政官」〔だじょうかん〕の名で出した5枚の高札です。画像掲載箇所は、キリシタンと邪宗門を禁止する五榜の掲示第三札の文言です。「三月」とありますが、閏〔うるう〕4月に改正された条文です。
  • 備考:
    • 平成30年度(2018年度)初心者のための古文書講座「幕末・維新期の古文書を読む」で読んだ史料です。
    • 高橋義一家346には第一札もありますが後欠です。
    • 濱野昭家1885 「王政御一新ニ付御触書并〔ならびに〕御取締筋御口達〔くたつ〕御請印〔うけいん〕帳」には、高札に関する新政府の指令があり、五榜の掲示も記載されています。→DA.gif 
    • 高札として残されている第三札の例として、『村人たちの「御一新」』9ページに、草加市立歴史民俗資料館所蔵資料の写真が掲載されています。

慶応4年(明治元年、1868年)知県事桑山圭助管轄村々境杭につき廻状

  • 出典:前掲濱野昭家1885 (抄)
  • 画像:
  • 翻刻・読み下し文:こちら(PDF)
  • 解説:知県事〔ちけんじ〕の桑山圭助〔けいすけ〕(効)の役所から出された廻状〔かいじょう〕(村々に回覧された文書)の写し(上馬場村)で、桑山が管轄することになった村々の境界に杭を建てるよう命じたものです。杭の3面に「御料 知県事桑山圭助支配所 武蔵国〔むさしのくに〕埼玉郡上馬場村」などと記載し、裏面には「慶応四年八月」と記載するよう指示しています。桑山の管轄地は、八潮市域20か村を含み、現在の東京都・埼玉県・千葉県にまたがっていましたが、当時は県名が定まっておらず、明治2年(1869年)正月に「小菅県〔こすげけん〕」となりました。
※桑山は、慶応4年(1868年)7月10日に知県事に任命されていました。のちに小菅県・大宮県・品川県となる地を管轄した知県事は、いずれも「武蔵知県事」と呼ばれました。なお、桑山の後任の武蔵知県事は河瀬秀治〔ひではる・ひでじ〕です。
※「御料」は、近世には幕領をさしましたが、この杭の場合は皇室の領地(新政府の直轄地)の意と思われます。
※小菅県は、武蔵国葛飾郡〔かつしかぐん〕小菅村(現葛飾区) に県庁が置かれました。
  • 備考:濱野昭家1885全体の画像→DA.gif

明治2年(1869年)小菅県「示書」(法令集)《抜粋》

  • 出典:濱野昭家1884 「御示書 全」 (抄)
  • 画像:こちら(PDF)
  • 翻刻:こちら(PDF)
  • 解説:小菅県が木版刷で頒布した冊子で、県民が遵守すべき法規を示した法令集です。冒頭に「王政御一新ニ付」とありますが、内容は近世の五人組帳前書〔ごにんぐみちょうまえがき〕を踏襲したものと言えます。
  • 備考:
    • 平成28年度(2016年度)初心者のための古文書講座「古文書から見た明治維新直後の上馬場村」で読んだ史料です。
    • 濱野昭家1884全体の画像→DA.gif
    • 「示書」全文の翻刻は、『増補 葛飾区史 上巻』914~918ページに掲載されています。

明治2年(1869年)天皇誕生日等休日につき廻状

  • 出典:濱野昭家1894A 「御一新ニ付御布令之趣村役人小前共心得方請印帳」 (抄)
  • 画像:
  • 翻刻・読み下し文:こちら(PDF)
  • 解説:明治天皇の誕生日(天長節、「今上御誕生日」)の9月22日と、先代孝明天皇の命日(「先帝御忌日」)の12月25日は休日にするという内容で、小菅県役所から出された廻状の写しです。
※当時は旧暦です。明治6年(1873年)の太陽暦導入に伴い、明治天皇誕生日は11月3日、孝明天皇命日は1月30日に変更されました。
  • 備考:濱野昭家1894A全体の画像→DA.gif

明治3年(1870年)小菅県褒賞状(上馬場村名主弥右衛門)

  • 出典:濱野昭家621 (抄)
  • 画像:
  • 翻刻:こちら(PDF)
  • 解説:小菅県から上馬場村名主弥右衛門〔やえもん〕(濱野忠義〔はまのただよし〕)への褒賞状で、紬〔つむぎ〕1反を下賜されています。褒賞の理由としては、「御一新以来」法令などの村民への周知が行き届いて村治が良好であり、特に凶作への処置が時宜を得ていることが挙げられています。
※弥右衛門は本田(本村)の名主で、新田の名主作右衛門〔さくえもん〕は木綿1反、組頭以下は米を下賜されています。
  • 備考:
    • 平成30年度(2018年度)初心者のための古文書講座「幕末・維新期の古文書を読む」で読んだ史料(『八潮市史 史料編 近代1』口絵)と同内容です。
    • 濱野昭家621全体の画像→DA.gif
    • 【関連文書】濱野昭家1881 「御褒美頂戴御請印帳」→DA.gif など

明治3年(1870年)小菅県触元役苗字御免につき請書

  • 出典:資料館寄託 濵野昭家53 「諸事控覚帳 全」 (抄)
※『八潮市史 史料編 近代1』史料7「諸事控覚帳」(抄)、『新編埼玉県史 資料編19』資料25「小菅県触元役名簿及び俸給」にも掲載。   
  • 解説:明治3年(1870年)3月30日付の文書で、苗字(名字)御免(苗字を公称することを許されること)となった小菅県の触元役〔ふれもとやく〕一同が、謝意を表して御用を大切に務めることを誓約しています。市域20か村が属した八條領組合の触元役は、川崎村の佐藤平治郎と上馬場村の濱野弥右衛門です。
※触元役は、明治2年(1869年)に設置され、法令を村々に伝達する役割などを担いました。濱野弥右衛門は、明治3年(1870年)3月29日に、後谷村増次郎の後任として触元役に就任しました。
※明治3年(1870年)9月、平民の苗字使用が許可されて、苗字は特権ではなくなりました。
  • 備考:
    • 濱野昭家53全体の画像→DA.gif
    • 濱野昭家53には、小管県から触元役一同に交付された苗字御免の文書があります(DA画像12)。
    • 濱野昭家2725には、苗字御免の文書と、平日袴〔はかま〕・割羽織〔さきばおり、わりばおり〕着用許可の文書があります。→DA.gif(画像4~6)
※関連写真→こちら

(参考)廃藩置県直後の諸県図(現埼玉県域)ほか

Haihanchiken.jpg 明治4年(1871年)7月 廃藩置県直後の諸県図(現埼玉県域)

※注意(脚注参照) [2]
※小菅県は現埼玉県域のみ記載。
  • 『増補 葛飾区史 上巻』口絵に、明治2年(1869年)「小菅・品川・浦和各県区分図」掲載。
  • 草加市史 通史編 下巻』口絵に、明治4年(1871年)6月小菅県管轄絵図掲載。 
※領別に色分けされており、一部の村々には戸籍区の数字も付記されている。市域20か村は、八條領に属し、戸籍区は第8区。

「くずし字にチャレンジ!」の別ページにある幕末・維新期の文書

参考文献・ホームページ

八潮市立資料館の刊行物など

  • その他の資料館刊行物(配布物)
    • 「古文書から探る八潮の歴史」(八潮市立資料館、2020年) ※PDFはこちら
※資料館収蔵古文書は省略。

その他

  • 朝尾直弘・宇野俊一・田中琢[3]編『角川 新版 日本史辞典 第5版』(角川学芸出版部、2007年)
  • 国史大辞典編集委員会編『国史大辞典』(全15巻・17冊、吉川弘文館、1979年~1997年)
  • 埼玉県編集発行『埼玉県行政史 第1巻』(1989年)105~108ページ
  • 埼玉県編集発行『新編埼玉県史 通史編5 近代1』(1988年)30~33、54~56ページ
  • 埼玉県編集発行『新編埼玉県史 資料編19 近代・現代1 政治・行政1』(1983年)7ページ、資料5・25・26
  • 埼玉県編集発行『新編埼玉県史図録』(1993年)210~211ページ
  • 草加市史編さん委員会編『草加市史 通史編 下巻』(草加市、2001年)口絵
  • 高橋操「小菅県の範囲について」(『草加市史研究』第12号、2000年)
  • 田中信正「明治初年の小菅県と報恩社仕法」(『草加市史研究』第12号、2000年)
  • 東京都葛飾区編集発行『増補 葛飾区史 上巻』(1985年)口絵、913~918ページ
  • 広報やしお』第279号
  • 国立国会図書館ホームページ「日本法令索引〔明治前期編〕」
  • 東京大学史料編纂所ホームページ

関連項目

☆このページの令和4年(2022年)12月6日版はこちら
☆このページの平成31年(2019年)2月9日版(初版、「『れきナビ』講座:くずし字にチャレンジ! 幕末・維新期の古文書」)はこちら
  1. 濱野昭家の「濱」は、正しくは異体字の「Hama.jpg」(Unicode:U+6FF5)です。この字は、オペレーションシステムなどの環境により正しく表示されない可能性があるため、本文では正字体の「濱」(常用漢字は「浜」)で表記しています。
  2. 埼玉県刊行物の図版を転載している画像について:利用規約の「著作権」の項(こちら)の「ただし、プリントアウトに限り(中略)許可不要とします」は、適用されません。
  3. 田中琢の「琢」は、正しくは旧字体の「Taku.JPG」(Unicode:U+FA4A)です。この字は、オペレーションシステムなどの環境により正しく表示されない可能性があるため、本文では人名用漢字で表記しています。
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