『れきナビ―やしお歴史事典』:旧版:上馬場濱野昭家文書(20230601版)
上馬場濱野昭家[1]文書〔かみばんばはまのあきらけもんじょ〕は、上馬場村の名主であった濱野昭家に伝わった文書。八潮市立資料館寄託(約3,000点)。
- ※上馬場についてはこちら
- ※=解説(一部は翻刻付)があるページへリンク
- ※=「八潮市立資料館デジタルアーカイブ」(資料詳細画面)へリンク
- ※=PDFファイル→をクリックして移動したページをご覧ください。
- ※画像について、拡大表示したい場合や出典を確認したい場合は、画像をクリックして移動したページをご覧ください。
目次 |
濱野昭家
上馬場(現中央)の濱野昭家は、中世には岩付(現さいたま市岩槻区)太田氏の家臣であったといわれ、近世には上馬場村の本田(本村)の名主を世襲した。
- ※上馬場村の一部である作右衛門新田〔さくえもんしんでん〕にも名主が存在したので、上馬場村には2名の名主がいた。
濱野弥右衛門忠義
濱野家13世弥右衛門忠義〔やえもんただよし〕は、文化14年(1817年)生、明治24年(1891年)没。嘉永7年(安政元年、1854年)、上馬場村の名主に就任した。明治初期には小菅県の触元役〔ふれもとやく〕、埼玉県第1区の戸長(のち副区長)、地租改正御用掛、後谷村・立野堀村(現草加市)の戸長などを歴任した。西袋村小澤豊功〔とよかつ〕の寺子屋尚古堂〔しょうこどう〕の門人であり、自らも寺子屋を開いた。
忠義写真(左)の解説
明治3年(1870年)3月、忠義は触元役に就任し、苗字(名字)御免となり、「平日袴〔はかま〕・割羽織〔さきばおり、わりばおり〕着用」を許可された(詳細はこちら)。その折の記念写真と伝えられる。写真には「勤王家濱野[ ](欠損)」「通称御一新様」と書かれている。
- ※小菅県・埼玉県辞令などの巻子(下記画像の埼玉県第1区副区長辞令の出典)→
- ※嘉永7年(安政元年、1854年)~明治11年(1878年) 忠義履歴→
- ※明治22年(1889年) 忠義の事績を記した碑文→
濱野昭家文書の検地帳(指定等文化財)
濱野昭家文書の検地帳は、八潮市指定文化財および登録文化財となっている。
- ★詳細は「上馬場村検地帳」参照
『れきナビ』(本サイト)の濱野昭家文書画像
近世
寛文10年(1670年)
上馬場村人別帳〔にんべつちょう〕
※翻刻はこちら(PDF)寛文13年(1673年)
上馬場村竹木改帳
※翻刻はこちら(PDF)享保16年(1731年)
御拳場〔おこぶしば〕住居浪人吟味証文
※翻刻はこちら(PDF)文政10年(1827年)
上馬場村村入用帳
※翻刻はこちら(PDF)(年不詳)
伊勢朝熊ヶ岳金剛證寺〔あさまがたけこんごうしょうじ〕の護符
近代
慶応4年(1868年)
知県事桑山圭助管轄村々境杭につき廻状〔かいじょう〕
時代不明
「八潮市立資料館デジタルアーカイブ」
濱野昭家文書の一部は、「八潮市立資料館デジタルアーカイブ」で目録情報の検索と画像の閲覧ができる。
(「古文書」データベースの検索画面へリンク)
- ※目録情報のみで画像を閲覧することはできない文書もある。
- ※以下は画像閲覧ができる文書の一部(上記で紹介した文書と重複しないもの)。
- ※慶長8年(1603年)から天明4年(1784年)までの年貢割付状と支配変遷の記録。天文3年(1534年)の上馬場村開発の記載もある。
- 享保16年(1731年)に葛西用水組合に加入した15か村につき覚書
- 安永2年(1773年) 葛西用水と八條用水入替承知につき連判状
- 天保9年(1838年) 喰物〔くいもの〕商売書上帳
- 明治5年(1872年) 西袋村他11か村副戸長等勤向番付
- 明治9年(1876年) 上馬場村地引絵図〔じびきえず〕
- 明治12年(1879年) 下等小学第1級卒業免状
- 明治12年(1879年) 改正地券(濱野弥右衛門宅地)
- 明治16年(1883年) 戸長役場備置帳簿目録
- ※記載されているのは明治元年(1868年)以降の文書。戸長は濱野又蔵(濱野昭家ではない)。
参考文献・ウェブサイト
八潮市立資料館の刊行物など
- 展示パンフレットなど
- 『八潮市制施行20周年記念事業 第4回企画展 近代地方自治展』(1991年)
- 『第11回(生涯学習)企画展 解説図録 寺子屋―地域の情報センター―』(1995年)
- 『第20回企画展 八潮からの旅』(2008年)
- 『描かれた明治維新―地租改正と八潮―』(2010年)
- 『第37回企画展 「蔵書」の世界―広がる書物と在村文化―』(2017年)
- 『第40回企画展 明治150年記念展示1 村人たちの御一新―幕末・維新の八潮地域―』(2018年)
- 『第44回企画展 こどものまなび 学校 遊び 暮らし』(2021年)
- ※以上は関連する展示の一部。
- 八潮市史編さん物
- 『八潮市史 通史編1』(1989年)384、820ページ、第4編第5章第4節
- 『八潮市史 通史編2』(1989年)32~35ページ
- 『八潮市史 史料編 近世1』(1984年) ※濱野昭家文書に関する史料番号・解説ページなどについては省略(以下『八潮市史 史料編』は同)。
- 『八潮市史 史料編 近世2』(1987年)
- 『八潮市史 史料編 近代1』(1981年)
- 『八潮市史 史料編 近代2』(1983年)
- 『八潮市史調査報告書 八潮の民家と社寺建築』(1978年)88~89、122、199~201ページ、写真19・20
- 『八潮市史調査報告書2 八潮の民俗資料1』(1980年)表見返し、10、21ページ、裏見返し
- 『八潮市史調査報告書6 八潮の民俗資料3』(1983年)表見返し、裏見返し
- 『川に抱かれて―八潮の歴史アルバム―』(1994年)58、171ページ
- 『八潮のふるさと新書1 小澤豊功』(八潮市、2001年)27、118、123~124ページ
- 萩原龍夫「八潮市域の近世村落概況」(『八潮市史研究』創刊号、1978年)
- 小沢正弘「寺子屋尚古堂について」(同上)
- 遠藤忠「八潮地方の近世家普請帳」(『八潮市史研究』第5号、1984年)
- 吉本富男「埼玉県内の地方自治の推進者たち」(『八潮市史研究』第11号、1992年)
- その他の資料館刊行物
- 教育総務部文化財保護課企画・編集『八潮市の文化財ガイド』(八潮市教育委員会、2019年)29ページ
その他
- 小田真裕「市民と元職員の古文書サークル―八潮市「わくわく古文書クラブ」―」(『古文書研究』第90号、2020年)
- 小野文雄監修『日本歴史地名大系 第11巻 埼玉県の地名』(平凡社、1993年)1053ページ
- 「角川日本地名大辞典」編纂委員会編『角川日本地名大辞典 11 埼玉県』(角川書店、1980年)270ページ
- 埼玉県編集発行『新編埼玉県史 通史編5 近代1』(1988年)54~56ページ
- 埼玉県編集発行『新編埼玉県史 資料編19 近代・現代1 政治・行政1』(1983年)7ページ、資料25・26
- 埼玉県教育委員会編『埼玉人物事典』(埼玉県、1998年)219、651~652ページ
- 西沢淳男監修、川口市教育委員会文化財課編集・発行『歴史読本伊奈☆忠治 利根川・荒川を開発した代官』(2022年)
- 藤方博之「上馬場新田地区に残る歴史的地名・史跡」(『八潮市郷土研究会紀要 跡標』18輯、2015年)
- 『広報やしお』第48・83・279・365・530・532号
関連項目
- ☆このページの令和5年(2023年)6月1日版はこちら
- ☆このページの令和3年(2021年)5月13日版(初版)はこちら